不正確です。 o(- -;o
メリーベルは まだ人間。 エドガーは、すでにバンパネラ。 「いつも、そばにいたんだ」
「きみが 気づかなかっただけで」
「ぼくは、もうすでに たそがれの中、霧の中」
「色もなく、香りもなく、手折ることもかなわぬ」
「まぼろしの銀のバラに すぎないけど」
「それでも いつもいつも、メリーベル、妹よ」
「きみだけを見守ってきた」
「茂りのかげ、風のあいだから、きみの声きき、きみの笑みを見」
「きみは しあわせにおなり」
「誰に後ろ指さされることも、おそれられることもなく」
「誰よりも しあわせにおなり」 …エドガー
「エドガー、もう おまえはいらない」
「そうとも、あの子は成長する。 ぼくを越えて、越えて」
「帰らない思い出を忘れ、ぼくを忘れ」
「ユーシスを失った悲しみを癒し」
「そして やがて、新しい幸福を あしたに見つけだす」
「幸福を願っていたのでは なかったか?」
「忘れられる。 それが なぜ こんなに辛い?」
「それだけ、メリーベルが ぼくを忘れないでいてくれる」
「たった、それだけのことが」
「こんなにも 失いたくない想いの全てだったなんて」 …エドガー
萩尾望都 『ポーの一族』「メリーベルと銀のバラ」より
このころのエドガーは、生きてたけど、しんでたからなぁ。
バンパネラとして生まれ変わったんだけど、しんでたようなもんだからなぁ。
エドガーは、バンパネラになってしまった我が身を呪い、
自分を受け入れることが できなかったもんなぁ。
だから 「こんなにも失いたくない想いの全て」 だったんだよなぁ。
メリーベルが、エドガーを忘れないでいてくれることが。
メリーベルに忘れられたら、エドガーは二度しぬことになるもんなぁ。
同じく萩尾望都の 『トーマの心臓』 に
「人は二度しぬという」 っていう言葉が出てくるの。
一度目は 自己がしぬことで、二度目は 友人に忘れられることだって。
その言葉を思い出すなぁ。
このころのエドガー、
バンパネラになって、時が止まっただけじゃなく、
心も止まってたと思う。 自分を受け入れられなくて。
運命を受け入れられなくて。
でも エドガーだって、ここから始めたんだし。
ほとんど全否定から始めたんだし。
私だって、行けるよ。
自分を肯定できなくても、否定しないとこにまで。
後のエドガーのように。
PM.11:22