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2008年07月の日記
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●2008年07月21日(月)


… 災いをもって機会と成す 2 ── シラサギ …
[最終更新 - 8/2 AM. 11:39]


7月16日の『スター・レッド』日記の続き。

アミ =異次元から呼び寄せられた、形のない巨大な超精神生命体。
火星のような赤色螢星に巣くって魔の星にする。
魔の星では、大きなパワーの超能力を持つ種が誕生することがある。
その種は、世代を経るごとに超能力のパワーを増していくが、
その星に住み続けていると、いずれ夢魔にとりつかれてしまう。

夢魔=憎しみ合い、殺し合い、食い合う、嵐のような精神エネルギー。
夢魔にとりつかれると、精神のコントロールがきかなくなり、
滅ぼし合う。 引き起こすのはアミだけど、もともと人の心の産物。
火星では、まだ夢魔の作用は起こっていない。

☆ 以下の「 」内の言葉は、萩尾望都『スター・レッド』より



<災いをもって機会チャンスと成す 2──シラサギ>


容赦ない運命に対して
人ができることなんて、知れてる。
でも、運命が変わらなくても、人は変われる。
たとえ、同じ運命のもとでも、救いや恵みは見いだせるのだから。

もちろん、それには困難な試練を
乗り越えなければならない時もあるけれど。

でも、運命と向き合って、
葛藤し…、受け入れ…、自分や世界の見方を変え…、
それを機に、自分や他人、物事や状況の価値を見なおし…、
そこに、新たな価値観や何らかの救いを見いだすことが、
主体的に生きていくこと
のような気がする。

運命と闘うことは、結局おのれと闘うことだと思う。
相手が他にいたって、それは同時に自分との闘いでもあるのだし。



運命を受け止めて立ち向かう、
シラサギの、セイの、黒羽の、エルグの、ヨダカたちの闘いも、
決して救いのない闘いではなく、意味のある闘いだったと思う。

彼らの闘いは、
運命の中心こそ変えられなかったけれど、
他の様々な部分で、大切な変化をもたらした…。

だから、シラサギの言うすべはあったと思う。
災いを少しでも変化させる術やチャンス、
災いの中にあっても、救いを生み出せる術やチャンス、
…その両方ともが。



高度な文明を誇るゼスヌセルの異星人は、
有無を言わさず、アミの巣くう魔の火星を砕き、
有無を言わさず、火星人の超能力を封じ込める装置を
脳につなぎ、他の星に移住させるつもりだった。

魔の星からムリヤリ離して、他の星に移住させるのなら、
それ以上、危険な魔は進行しないのだから、
能力を封印する必要などないのに。

…火星は砕かれた。
その運命は変えられなかった。

でも火星人は、強制的に超能力を封じられずにすみ、
強制的に他の星に移住させられずにすんだ。

彼らは自らの意志によって、火星から離れた。
それは大きな違い。



惑星ネクラ・パスタに精神を吸い込まれ、
体も失い、異次元に迷いこんだセイは、そこから、
時空を超えて未来の火星を見る。…砕けていた。

また、セイはその異次元で、
同じく迷い込んで帰れないヨダカの魂に出会う。

一方、火星人の長老がヨダカの魂を戻そうと、
ヨダカに強く呼びかけ続ける。

…長老の呼びかけが届く。
一つの体に二人の意識は入れないので、セイが小さくなって
ヨダカの中に入り込み、ヨダカは自分の体を女に変え、
あとからセイを新しく産むことにする。



火星に迫る危機を伝えようとする、セイのまぼろしが揺らぎ…、
まぼろしが指さす火星の月フォボスが砕け…、
ヨダカの魂は、異次元の闇に降りて遠く…、
目覚めたヨダカは、セイは自分の中だと告げ…、

それらがキッカケとなって、
火星の夢見たちに、未来の夢が来る。

「火星が失われるのだ」

「…子どもが生まれる……」
「火星人の最後の子どもが生まれる」
「…たった一人の六世代目が」

「その子は…われわれの失われた星になるだろう」
「…………新しい星になるだろう」
「…深紅の瞳の………赤い…星に…」

火星人たちは、いずれ火星が砕けることを知るが、
その深い悲しみの中で、せめてもの救いの誕生も知る。




アミの巣くう惑星ネクラ・パスタで、セイを失い、
ゼスヌセルの異星人に、その星にたった一人閉じこめられたエルグ。
基本的に不死のエルグは、究極の選択を迫られる。

死んだ魔の星で、セイを失った悲しみを痛いほど感じながら、
世の終わりまで、たった一人で生き続けるか…。

封じられていたテレパシー能力を解放して、
その星に共鳴し満ちている、否定の精神エネルギーに
つかまり引き込まれて、無、暗黒、狂気の世界へいくか…。

…彼は、精神の全てを解き放つ決心をする。



精神能力を解放したエルグは、
セイを愛する強い想いのエネルギーを、

全身全霊に満たして、世界中に放ち、
そのエネルギーを、解放した能力で惑星に刻み込み共鳴させる。

否定のエネルギーが共鳴して人を呑み込む魔の惑星で、
その否定のエネルギーを越えるほどの強さの
肯定のエネルギーを惑星に刻み込む。

…やがて、そのエネルギーは、
それまで惑星に満たされていた、否定のエネルギーを凌駕していき、
逆のエネルギーを、惑星に新たに共鳴させ始める。

…そして遠い未来、その惑星は息を吹き返す。



エルグのセイへの強い想いと、
「あるべからざる」とされた能力により、
その惑星の、夢魔のような否定のエネルギーを
肯定のエネルギーへと変化させ、その星が生き返ったということは、

その惑星に巣くっている超精神生命体アミの意識を
変化させたことにもなるのでは…?

たとえ、巨大な精神生命体アミの意識のほんの一部でも、
たとえ、それが火星ではなく、ネクラ・パスタのアミの意識でも、

高度な文明を誇るゼスヌセルの異星人でさえ、最も恐れ、
排除しきれずにいるアミを変化させたのなら…、

それは対処療法的な排除と違い、根本的なアミへの働きかけ。
宇宙の未来が塗りかえられる、かもしれないほどの大きなこと。

「災い」とされたエルグが、宇宙に「機会チャンス」をもたらすことに…。

そしてそれは、シラサギの、セイの、黒羽の、ヨダカの、
サンシャインの、源の、カッパの闘いがあったからこそ、
エルグが起こせた奇跡…。



この日記を書いてる途中の7月27日に、
座敷確認時も、あぢい長袖・長ストレッチパンツ脱ぎ脱ぎしたままで、
ノースリーブ1枚で確認するのに初挑戦して、成功したー。☆(/⌒∇)/

ここ何年かは、服を体から離しておくのが不安で、
お風呂時と、お風呂での服の手洗い時と、ドライヤー時以外は、
寝ても起きても、ずっと同じ服を着たままで、

秋に急に寒くなったときに対応できるように、
真夏でも夏の格好をしないで、どんなに暑くても、
長袖・長ストレッチパンツを脱げなかった。
急な秋用にノースリーブのブラウスも
重ね着したままで。

昨年と、たぶん一昨年も、
父親が落とした埃が気になって、この部屋の扇風機が使えなくて、
団扇も持つのが不安で使えなくて、よこの台所の換気扇だけで、
しかも、体温並み・体温以上の日が多くて、
なのに脱げなくて、ほんとあぢかったー。

今夏、思い切って脱ぎ脱ぎしたら、
ノースリーブ1枚と体の間に、空気が通ってくのが感じられて、
うれしくて感動もんだったー。o;T T)o

それから、服を体から離しておける時間が
だんだん長くなってきてた。

でも、新聞ポイとこ用事と、座敷確認用事の時だけは、
服をみんな着ないと不安で、できなかったんだけど、
片方は、思い切ってクリアできたー。☆(/⌒∇)/
すごく勇気いったから、よけいにうれしい。

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[注意] 服の件でも頑張れているのは、
数ヶ月前から本から学んでいる行動療法を実践してるからです。
すでに5月8日にはっきりとお断りしたカウンセラーさんとは、
全くなんの関係もありません。

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深夜.26:19

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●2008年07月16日(水)


… 災いをもって機会と成す 1 ── シラサギ …
[最終更新 - 7/21 PM. 1:47]


7月11日の『スター・レッド』日記の続き。

火星人=火星に適応して超能力をもつようになった種族。 もと地球人。
彼らは世代を経るごとに、その能力を増していく。
ほとんどが第三世代と第四世代。 セイは貴重な第五世代。

夢見たち=火星人の中でも、特に強い予知能力をもつ者たち。
シラサギは、その12人のうちの1人。 彼らの予言は
シャーマンの言葉のように、一族の中で絶対的な力を持つ。

☆ 以下の「 」内の言葉は、萩尾望都『スター・レッド』より



<災いをもって機会チャンスと成す 1──シラサギ>


火星の“夢見たち”のつえが鳴る。
未来の夢を見る状態に入った彼らの精神波が
1つの未来を予知し、つえが共鳴する。 彼ら全員が言う。

「災い…、災いの月がのぼる」

その後、シラサギがひとり共鳴からはずれる。 異なる夢をみる。

「…それをふせぐことはできる…」.......シラサギ

「ふせぐことはできない」
「ふせぐには、事態が大きすぎる」
「その異星人(エルグ)は災いを呼ぶ。…大きな…」.......他の夢見たち

「…すべがある」
「…すべがある」.......シラサギ
「ない」「ない」「ない」.......他の夢見たち

異星人(エルグ)はセイと関わっている。ならばセイはどうなのだ?…と
長老が夢見たちに尋ねる。 つえの共鳴が、また大きく重く響き、
セイも災いだから殺せ…と、すべはない!…と
シラサギ以外の夢見たち全員が強く言う。

シラサギだけが、災いをふせぐ「すべがある」と言い続け、
セイを助けてテレポートし、ともに火星の一族から逃れる。



シラサギの精神波が、共鳴からはずれたのは、
他の夢見たちと、微妙に異なる未来を見たせいなのか…、
同じ未来を見ていても、その解釈が他の者と異なったせいなのか…、
私には、よくわからない。

でも、シラサギも、
セイもエルグも一族に災いを呼ぶ…ということは予知していたはず。
それでも、シラサギはセイを助ける。 たぶん、セイに賭けたのだ…。

「…結果のわかっている不利な未来でも」
「…その運命から逃れることはできない」


「おまえの死が、未来をかえるほどに働くとは思えない」
「いずれ未来は確実にくる」
「でも──、もし生きていれば」
「……チャンスはつかめる!」
.......シラサギ

「どんな夢だったの?」
「どんな災い──?」
「くわしく教えて!」.......セイ
「夢はあれで全部だ」
「おまえはチャンスだ!」.......シラサギ

「なにをすればいいの?」.......セイ
「信じるとおりに!」.......シラサギ

「──エルグをたすけるわ…!」.......セイ
「では、そうしろ」
「チャンスをつかめ!」.......シラサギ



シラサギは、災いの運命から逃れられないと知りつつも、
もし万が一、その災いを少しでも防げるとしたら、
災いを呼ぶ者こそが、その鍵をにぎっている、
その者こそ、一番のチャンスとなり得る、

…という発想をする。

災いに繋がる者を抹殺しても、
大きな災いはびくともしない。 何も変わらない。
そればかりか、災いを変える一番のチャンスも消えてしまう。
すなわち、…すべはなくなっていく。

それよりも、災いをもたらす者は、同時に、
災いを変えるチャンスをもたらす可能性も秘めている。
もしその者が、なにかチャンスを掴めたとしたら、…すべができる。

シラサギは、災いに繋がる者に中にチャンスを見いだす。
災いへ繋がりは、チャンスへの繋がりでもあるのだ…。

そして、そのチャンスに賭けたのだと思う。

また、そのチャンスは、
災いを変えるチャンスには、なれなかったとしても、
辛い災いの中にあっても、なにか救いを生み出すチャンスには
なれるかもしれない…。



シラサギは、エルグが大きな災いをもたらすことも、
十分承知の上で、エルグを助けたいと言うセイに、
「では、そうしろ」…なんて、
すごいことを言う。

セイの意思の強さと行動力、
第五世代の計り知れない超能力のパワー、
たぶんそれらにも、シラサギは未来を託した…。
たから、一族の意志を受けた追っ手の黒羽から、
シラサギは自らの命を盾にしてまで、
セイを守り、…果ててしまった。

でも、シラサギの想いと行動は、
セイとシラサギの弟のヨダカに受け継がれ…、
黒羽やエルグたちの行動にも影響し…、

…そして果たして、火星の災いは、
夢見たちの多数派が見た未来から、少しずれたのだ…。

災いの中心こそ変わらなかったけど、他の部分は変化した。
その中には、大きな意味をもつ変化も…。

ひとり異なる未来を見ても、
おのれの見た未来と、おのれの感覚を信じ、
おのれの信じるとおりに、命がけで行動したシラサギ…。


彼の信念の言葉は、
物語の最後まで存在感をもち続ける。「…すべがある」
いったいどんな、すべがあったのか…。

──続く



今日は祇園祭の宵山。
そして、今夏初めてのセミの声。
今日も、たくさん用事したー。 (((((((((((((((((スタタタタッ ヘ(* - -)ノ

おととい、ドライヤーが壊れて、
昨日の朝、私の症状でも無事に使えそうなドライヤーと
安心して買えそうな店を、ネットで急いで探して注文して、
今日、無事にドライヤーを受け取った。

無事に使える色やデザインのドライヤーは、
取り寄せばかりだったから、初めて苦手な色に挑戦した。
大丈夫だったー。 ☆(/⌒∇)/

数分ずれたら、父親が用事する時間帯と重なってしまうから、
速攻でドライヤーを出して、速攻で使う場所にセットした。
今までの私なら、30分以上かかることを10分でした。
無事成功してよかったー。☆(/⌒∇)/

今日は他社の宅配便でサプリも来たから、大いそがしだった。
こっちも記録的速攻、いつもの半分以下の時間でやった。

2日間、ドライヤーが使えなくて
長い髪も、お風呂で手洗いした服も、しばらく半乾きのまま
だったから、ほんのちょびっと風邪っぽいんだけど、
頑張れたのだー。 ☆(/⌒∇)/


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[注意] 頑張れているのは、
数ヶ月前から本から学んでいる行動療法を実践してるからです。
すでに5月8日にはっきりとお断りしたカウンセラーさんとは、
全くなんの関係もありません。

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深夜.26:07

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●2008年07月11日(金)


… 運命を変えられなくても、運命に克てる …
[最終更新 - 8/2 AM.11:54]


7月1日の『スター・レッド』日記の続き。

火星人=超能力をもつ種族。 もとは地球人。
夢見たち=火星人の中でも、特に強い予知能力をもつ者たち。



<運命を変えられなくても、運命に克てる>

運命は非情。
どうにもならない運命ってある。
たとえば、“夢見たち”が予知した火星の災い。

火星に災いがくるのがわかっていても、
火星と火星の一族を守ろうと、なんとかチャンスをつかもうと、

セイが、シラサギが、ヨダカが、黒羽が、
それぞれの運命のもと、命がけで全力を尽くす。

それぞれが信じるとおりに。
そして、エルグ、サンシャイン、源、カッパも協力する。

火星の運命は変えられなかった。
でも、力を尽くした者たちの想いは受け継がれる。

残された者に、新しい命に、惑星ネクラ・パスタに。
…そしてたぶん、超精神生命体アミにも。

もがいたことは無駄にはならない。
彼らの想いは受け継がれる。 消えない。
『スター・レッド』は、救いがないように見られがちだけど、
本当は、この話には大きな救いがあると思う。



運命は非情。
それぞれの願いとは関係なく、在る。
心の片隅でもいいから、運命を受け入れ、
その運命のもとで、ベストを尽くすことしかできない。


運命に対して
人ができることは知れてる。 運命は甘くない。
どんなに力を尽くしても、できることは限られている。
でも、それでいいんだと思う。 全力を尽くすことが大事なんだと。

たとえ、志なかばで力尽きたとしても、
全力で立ち向かったのなら、
返ってくるものはあると思う。
思うような結果が返ってこなかったとしても、
代わりに、大切なものが自分から自分に返ってくる…と。
運命との闘いは、自分との闘いでもあるのだから。



人は全力を尽くすとき、
または、全力を尽くしたあとでしか、
本当には、運命を受け入れられないのかもしれない。

でも、運命に向き合い、全力を尽くすとき…、
または、全力を尽くしたからこそ…、

紆余曲折はあっても、だんだんと
運命や自分を、それまでよりも受け入れられるようになり、
世界や自分への感じ方が変わり、心がどこか
救われていくんじゃないだろうか。


運命を変えられなくても、
全力を尽くした者は、運命に負けたわけじゃない。
彼らは克ったんだと思う。
自らを受け入れ、救うことに繋がるし、
彼らの想いや行動は…、消えずに受け継がれる。
そして未来、それは誰かの救いにも…繋がるかもしれない。

運命は非情。
でも、敵にまわすか、味方につけるか…、その人次第。
そして、『スター・レッド』は、運命と闘う勇気をくれる。
シラサギが、セイが、黒羽が、エルグが、ヨダカが、勇気をくれる。

深夜.26:24

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●2008年07月01日(火)


… 内なる恐れを受け入れ、自らを救ったエルグ …
[最終更新 - 7/10 PM. 11:50]


以下の『スター・レッド』日記の続き。 o(- -;o

2008/06/08 …大切な存在を失う痛み
2008/06/14 …危険な要素と救いの要素を併せもつ、両刃の刃
2008/06/21 …本能的な不安とおそれが、心に魔物を育てる
2008/06/24 …少数派を排斥する多数派の勘違い

『スター・レッド』ばかり続いて、ごめんなさい。
でも、今は『スター・レッド』に想いを巡らせることで、
助けてもらってる…。 強迫と親の罵声だけの世界から別の世界へ、
いっときでも心が行けるから。 その世界に浸れるから。
そして、少し元気になって戻ってこれる。

☆ 以下の「 」内の言葉は、萩尾望都『スター・レッド』より



惑星ネクラ・パスタで愛するセイを失って、
セイを呼び続け、セイの意識をさがし続けたあと、
エルグが全身全霊で世界に放ち続けた、セイへのこの想い…。

私が、たろーにゃんこの名を呼び続け、
たろーにゃんこの魂をさがし続けていたとき、そのあと、
どこにいるのかわかない、たろーにゃんこに向かって、
祈るように送り続けていた想い…。

まるで同じ。


「この惑星のどこかにいるのなら…」
「また、この宇宙のどこかにいるのなら…」
「うけとっておくれ」
「ぼくは──すべての柱に地に──、きざみこむ」
「──きみを愛していると」

「…セイ、おまえを愛している…」
「愛している…愛している…愛している…愛している…愛している…」

私はエルグのように、想いを惑星に刻み込む能力はないから、
そこは大きく違うけど、想いは…同じ。



<内なるおそれを受け入れて、みずからを救ったエルグ>

夢魔の作用が起こって、壊滅しかけたエルグの星の住人を、
我々が救ったんだ、おまえは裏切れないぞ…と言う
異星人ミュージュに、エルグが返す。

「ミュージュ、わたしは誰によっても救われてはいないんだ」
「だから、わたしはあなたの国に住むことができずに」
「辺境の地を転々とさまよっていたんだ」

「…きみに会うまでは、──セイ──」

エルグは、自分を愛せなかった?
人も愛せなかった?
だから、誰によっても救われなかった?
セイに出会うまで
の、エルグの6千年の孤独は、
長さだけでなく、その深さも暗示しているように思える。

「きみの呪文だね」
「…特定の星を…そうも愛せるというのはね」

「おそれているのは、ぼく自身だよ」

「超能力者というのは、たいそう珍しい存在なのだ、この宇宙では」
「また、忌むべき存在なのだ」
「それらには、呪縛がかけられているので」

セイのようには、自分の星を愛せないエルグ。
他人ではなく、自分をおそれていると言うエルグ。
みずから、「忌むべき」と言うエルグ。




とっくの昔に、ゼスヌセルの異星人に砕かれて、
もうないエルグの星、自分の星…、
悲しさ、懐かしさだけじゃなく、
複雑な想いが混じってるような気がする。
愛したいけど、愛しきれないっていうような…。

それは夢魔のショックのせい、たぶん。
アミが夢魔を引き起こすんだけど、夢魔はもともと人の心の産物、
憎しみ合い、殺し合い、食い合う、精神エネルギー。


アミが巣くっていた自分の星で、夢魔がおしよせてきたとき、
エルグは、「子どもで冬眠していて、テレパシーが
そう強くなかった。 だから助かった」

でも、夢魔にとりつかれて、
精神のコントロールがきかなくなり、
憎しみ合い、殺し合う人々を、エルグはきっと目の当たりにした。
エルグの周りの大人たち全員が、そうなったかもしれない。

夢魔について、ゼスヌセルの異星人が言っていた。
「その危険度は、きみが最もよく知ってるはずだ。 エルグ」

エルグの子ども心に、
夢魔のおそろしさ、人の心のおそろしさが
しっかり、焼きついて
しまったんじゃ…。
自分自身や自分の星を、心のどこかでおそれ、
愛しきれなくなって…しまっていたような気がする。



「そして、きみに出会った」
「一つの星、一つの運命に恋している少女」

自分の星をそこまで愛せるなんて、
エルグには、到底できなかったと思う。
だから、セイに惹かれた…?

でも、やっと出会えたセイを、あっという間に失って…、

異次元から呼び寄せられたアミが最初に巣くった惑星、
死んだ魔の惑星、ネクラ・パスタに、たった一人、
永遠に取りのこされることになったエルグ。
あまりにも酷…。

セイが決して戻らないと悟ったあと、
エルグは封印を解いて、精神を解き放つ決心をする。
おそれていた自分自身を。


「ぼくは今から、くるうことにする」
「ぼくの精神を封じてきたいましめを、今とくことにする」
「惑星の共鳴がぼくをつかまえ、ひきこむにまかせよう」
「ぼくがおそれていた、無、暗黒、狂気へ」

その惑星で、テレパシー能力を解放すると、
惑星の共鳴に精神がつかまり、引き込まれてしまう。

否定の、負の精神エネルギーが共鳴し合って
増幅していき、強大化したエネルギーが夢魔だと思う。
惑星の共鳴につかまって、精神のコントロールがきかなくなるのは、
夢魔につかまるのに似てるかもしれない。

夢魔の恐怖がしっかり残っているのに、
エルグは自ら、ずっと恐れてきた、無、暗黒、狂気の世界へ…。




でも封印を解いたエルグは、セイを愛する強い想い、
夢魔とは逆のエネルギーを全身全霊に満たし、
世界に放ち、惑星に刻んで共鳴させ…、

愛してる…愛している…愛している…愛している…愛している…、
その強い想い、エネルギーをアミの巣くう惑星に共鳴させ…、
否定のエネルギーが共鳴して人を呑み込む魔の惑星で、
その否定のエネルギーを越えるほどの強さの
肯定のエネルギーを惑星に刻み込む。


それはちょうど、夢魔とは逆のエネルギー。
愛し合い、許し合い、与え合う、精神エネルギー。

…やがて、そのエネルギーは、
それまで惑星に満たされていた、否定のエネルギーを凌駕していき、
逆のエネルギーを、惑星に新たに共鳴させ始める。

…そして遠い未来、その惑星は息を吹き返す。
水が流れ、芝草が茂る。



夢魔のような否定のエネルギー、
その惑星の否定のエネルギーを肯定のエネルギーへと変化させたエルグ。
それは、その惑星に巣くっている超精神生命体アミの意識を
変化させたことにもなるのでは…?


星に巣くうのは、巨大な精神生命体アミの意識の一部だという。
惑星ネクラ・パスタのアミの意識が変わったとしても、
全体から見れば一部。

でも、たとえ一部でも、
高度な文明を誇る、ゼスヌセルの異星人でさえ、
最も?恐れてきたアミを、「あるべからざる」
とされた
超能力の種のエルグが、変えたことになる。
彼の両刃の刃の能力と、セイへの強い想いで。

「忌むべき存在」というレッテルを貼られ、
みずからも「忌むべき存在」だと恐れていたエルグが、
「忌むべき」とされた、まさにその能力で、
アミの一部を変えたことになる。


また、エルグは惑星ネクラ・パスタの
否定のエネルギーの共鳴を肯定のエネルギーに共鳴に
変化させることができたのだから、封印を解いて精神を解放しても、
狂気の世界へは行かずにすんだかもしれない。
無、暗黒へは行ったかもしれないけど。



エルグは、ずっと封じ込めていた
自分の精神能力の全てを、解き放とうと決心したとき、
彼は自分自身へのおそれを、おそれながらも受け入れる
決心をしたんだと思う。

その決心のもと、心のすべてを解き放つことによって、
エルグの自己への恐れと否定が、自己の受容と肯定へ
と向かったんだと思う。

エルグと同じような負の要素も併せ持つセイを
心から深く愛し、肯定することにより、
エルグは、エルグ自身のことも、負の要素があっても肯定
できるようになって、救われたんじゃないだろうか?


なにが一番孤独かっていうと、
自分自身を否定することが一番の孤独だと思う。
エルグは6千年の孤独からも、自分で自分を救ったんだと思う。
セイをを失ってしまったけれど、セイの代わりに、
自分で自分の孤独をうめたんだと思う。

エルグは、否定に満ちて泣いていた惑星ネクラ・パスタを
救っただけじゃなく、夢魔のエネルギーに勝っただけじゃなく、
ネクラ・パスタのアミを変化させただけじゃなく、
自分自身も自分で救ったんだと思う。
過酷な運命の中で。




この日記を書いてる途中の
7月5日(土)の朝方の夢に、たろーにゃんこが、
久々の久々に出てきてくれた。 すごくうれしかった。

たろーにゃんこは寝床の用意をしていたので、手伝ってあげた。
たろーにゃんこと一緒いれて、しあわせだった…。

PM.11:59

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